テレビドラマ「リミット もしも、わが子が…」(全11回)
リミット もしも、わが子が…
キー局:よみうりテレビ
制作:2000年
放送:2000/07/03〜2000/09/11
プロデューサ:堀口良則、小橋智子、篠原茂
演出:鶴橋康夫(1)(2)(11)、田中大輔(3)(4)、黒沢淳(5)(6)(9)(10)、新城毅彦(7)(8)
原作・脚本:野沢尚「リミット」
主題歌:Chara「月と甘い涙」
出演:安田成美、佐藤浩市、田中美佐子、陣内孝則、山本未来(山本未來)、新山千春、北村一輝、今井雅之、妻夫木聡、升毅、山田さくや、有岡大貴、益岡徹、古尾谷雅人、片桐はいり、モロ師岡、浜田晃、矢島健一、山形恵介、近藤弐吉(近童弐吉)、真鍋尚晃、逸見太郎、上原由恵、森本浩、出雲崎良、栗本修次、伊達あおい、菅原隆一、磯田彩花、川上麻衣子、加藤貴子、筒井真理子、金久美子、銀粉蝶、大高洋夫、川原和久、相澤一成、近江谷太朗、水木英昭、宮下敬夫、平出龍生、村上玲子、久保酎吉、山西惇、西牟田恵、西沢仁、高橋修、洪仁順、新谷真弓、菅原あき、神戸顕一、柿沼ゆう子、高木真知恵、出原陽子、野口真一、安河内直毅、安藤響、斉藤花咲、安積玲奈、三田健太郎、須永慶(、伊藤正博、山崎大輔、東海林寿剛、棚橋幸代、染谷勝則、上野平貴、田中允貴、三原康可、栗本修次、大賀埜々、落合ひとみ、鈴木薫、信太昌之、新納敏正、本田清澄、佐藤旭、伊達あおい、山田一樹、井出勝己、北村隆幸、浅野豪孝、松美里杷(松本マツエ)、金子浩子
解説:夫を亡くし、息子をひとりで育てる女性刑事・公子(安田成美)。誘拐事件を担当する中、自らの子も誘拐されたと知る。しかも、内部に共犯者が…。共犯者は誰なのか?警察を裏切らざるを得なくなった公子はひとり、犯人(田中美佐子)との壮絶な闘いに挑む。
第1回目は拡大版スペシャル(22:00-23:24)。
関連記事
小説・シナリオ「リミット」
全11回
第1回 二人の女
第2回 誘拐捜査
第3回 身代金運搬
第4回 必死の逃亡者
第5回 ペインレス・チルドレン
第6回 臓器移植医師
第7回 接近遭遇
第8回 凶暴なる母性
第9回 暴走
第10回 海の道を行け
最終回 烈火の月
ストーリー
第一回『二人の女』
警官だった夫の死を殉職と認定しない警察への怒りを胸に、息子を一人で育ててきた女性刑事。
新しく着任した警視庁捜査一課のの特殊犯捜査係では、誘拐された子供の母親になりすまし、犯人との交渉を行う被害者対策を担当することになる。
そして、着任早々、幼い子供の誘拐事件が起こり、彼女は初めて誘拐捜査の最前線へと踏み出す。
その背後に子供の臓器売買というおぞましい凶悪犯罪が潜んでいるとは知らずに……。
1996年7月のある夜。警視庁生活安全課に勤務する有働公子(安田成美)は、3才の息子・貴之(有岡大貴)を連れて救急病院に駆けつけた。
警視庁の白バイ隊員の夫・貴久が盗難車を追跡中に転倒し、意識不明で運ばれたのだ。
事故が起きた場所が神奈川県警の管轄とあり、病院には県警の片野坂刑事(佐藤浩市)の姿もあった。
叩き上げノンキャリアの彼は、貴久が県警に引き継がずに無謀な追跡をしたと決めつけ、外国人窃盗団らしき犯人を取り逃したことを避難。
そして貴久の行為を「無駄死にだ」と口走る。その言葉を公子は以降ずっと胸に刻みつけることになる。 結局貴久は死亡。しかし殉職とは認定されず、無謀な運転による事故死として処理された。
組織は命をかけた夫の正義を認めなかったのだ。女手ひとつで息子を育てる決意をして職場に復帰した公子。だがその胸には警察への怒りと意地が渦巻いていた。
中学教師の澤松智永(田中美佐子)は教え子の塩屋篤志(妻夫木聡)と肉体関係にあった。幼い頃のトラウマから、愛というものに不信感を持つ彼女には、篤志とのセックスも単に自分の快楽を追い求める行為に過ぎなかった。
ある日、智永は、デートクラブでバイトをしている女生徒の日色泉水(新山千春)を指導するよう学校から命ぜられる。だが彼女は泉水をめるどころか、一緒に朝までカラオケに興じた。泉水もそんな智永にどこか惹かれた。
やがて卒業とともに篤志も泉水も智永の元から去っていった。それから間もなく、智永は肉体関係を迫った体育教師の太股にメスを突き立て、自らその学校を辞めた。彼女が内に秘める怒りは、時に常軌を逸するところがあった。
そして4年の歳月が流れ、貴之は小学1年生になり、公子は捜査一課特殊犯捜査係に異動となった。被害者や参考人の心を開かせる才に長け、心情を色濃く描写した調書を書く能力を買われての異例の抜擢だ。公子はベテラン刑事の曽根(モロ師岡)のもと、誘拐事件の際に被害者の母親になりすまして犯人との交渉を行う被害者対策を担当することになった。
そのころ智永は六本木のクラブでチーママとなっていた。彼女と肉体関係にある中国系タイ人のグレイ・ウォン(北村一輝)は臓器売買に関わる密輸ブローカーだ。子供のドナーが少ない日本では幼い子供の臓器移植手術は不可能に近く、病気を持つ子の親は闇ルートでも移植手術を希望する。
そこに目をつけた彼は、東南アジアで臓器目的で子供を調達。腕のいい外科医・冨家(今井雅之)と組み、移植希望者をタイへ渡航させ、手術をしては稼いでいた。「子供の体は全部パーツとして売れる」という話に智永は魅入られる。だが最近現地で新型の肝炎が流行したため子供の臓器が汚染されるようになり、その“商売”もうまく行かなくなったとグレイは嘆く。
智永は、痲酔蜜売人となっていた篤志と泉水に偶然再会。再び彼らとのつき合いが始まる。ある時、彼らと街を歩いていた智永に偶然、天啓のようにひらめくものがあった。目の前には元気で健康状態のいい子供達があふれている。
「ここには健康な臓器がゴロゴロしているじゃない」
ほどなくして、子供たちが失踪する事件が起こる。東京近郊の遊園地では、古賀英寿(陣内孝則)が7才の息子・直樹をひとりでトイレに行かせたが、その姿が忽然と消えた。古賀は自分の不注意を一生悔やむことになる。
これから失踪事件に手がかりは一切なかった。だが樽崎香澄(山本未来)の娘のケースだけが犯人から接触があり、1億円の身代金が要求された。ただちに特殊犯捜査係が乗り出し、公子は誘拐捜査の最前線へ初めて足を踏み入れる……。
第二回『誘拐捜査』
誘拐された幼児の母親の代わりとなって誘拐犯からの電話に対処する公子(安田成美)。だが身代金の受け渡し場所に刑事がいたことを犯人側に気づかれ、受け渡しに失敗する。そのせいで犯人は次々と受け渡し場所を変更し、管轄の警視庁と神奈川県警を翻弄する。そんな中、公子の息子が誘拐される……。
樽崎彰一(升毅)、香澄(山本未来)夫婦の娘・あゆみが誘拐され、警視庁・調布南署に捜査本部が置かれた。公子は香澄になり代わって犯人からの電話に対処するため、緊迫する樽崎宅で犯人からの次の連絡を待った。
九条物産に勤める彰一は、家族と3年間タイ・バンコク支社に赴任し、この春、本国勤務になった。1億円の身代金は九条物産が機器管理費から用意した。
犯人は金の受け渡しに、彰一と彼の部下の白石(真鍋尚晃)を指名してきた。バンコク時代を彰一と共に過ごした白石は、車の運転が抜群にうまいことで評判だった。犯人はなぜかそれを知っていたのだ。 犯人は受け渡し場所として、東京と神奈川の県境にある駅前を指定してきた。車が神奈川県下に入った時のために県警の片野坂(佐藤浩市)も捜査員を配備して持ちかまえている。だが現場で待つ彰一たちに犯人から連絡はなく、状況は膠着。敏速に判断を下せない調布南署の現場責任者の警部補に片野坂は苛つき、追跡を県警に引き継ぐよう要請。譲らない警部補と険悪な状態になる。
結局、犯人から接触はなく、その夜、樽崎宅に電話が入る。あゆみが助けを求める声だ。智永(田中美佐子)が録音した声を聞かせていたのだ。智永の傍らには篤志(妻夫木聡)と泉水(新山千春)もいた。智永は公子に、金の受け渡し場所に刑事がいたと責め、交渉を中止したくなければ警察に通報したことを正直に認めるよう迫る。公子はとっさの判断で通報を認めてしまう。
だが翌日の身代金の受け渡し場所は次々と変更され、指示を受ける彰一と白石の車は東京と神奈川をまたいで転々と移動する羽目に。まるで管轄の警視庁と県警をあざ笑うかのように。片野坂は目立ちすぎる調布南署の追跡に激怒し、現場責任の警部補に「大名行列でもやってるつもりか」と掴みかかる。そんな片野坂の勝手な暴走を知って苦々しい思いの警視庁捜査一課のキャリア管理官・相馬謙太郎(益岡徹)は神奈川県警に対して厳重注意を要請する。
残酷に樽崎夫婦や警察を弄ぶばかりで、一向に身代金の受け渡しを実行しない智永に、一味の外科医・冨家(今井雅之)は「身代金に興味はないのではないか」と指摘する。冨家には彼女が人の弱点や不幸を攻撃することに異常な快感を覚える一種の人格障害に思えた。疲弊しきった香澄はたまらず「もし自分の子供が同じ目に遭い、冷たくなって帰ってきたらどうする?」と公子に聞く。母親として香澄の絶望が痛いほど分かる公子は「犯人を見つけてこの手で殺してやる」と正直な気持ちを応えた。
犯人は翌日も彰一を横浜に呼び出し、携帯電話で次々と指示を出して中華街や外人墓地をマラソンのように走り回らせ、県警を翻弄した。「警察に通報した罰だ」という犯人の非情さに、彰一はその場に泣き崩れてしまう。
その夜、失踪した息子の目撃情報を募る古賀(陣内孝則)の姿がテレビで報道された。身代金要求がないため誘拐捜査をしてもらえないことに苛だつ彼は、拉致監禁が目的かもしれないと訴える。
絶望感漂う樽崎家のマンションに片野坂がやって来た。彼は公子が犯人に警察の介入を知らせたことを厳しく責め「そのせいで子供が死体で見つかることになるんだ」と吐き捨てる。その頃あゆみは、停泊中のグレイ・ウォン(北村一輝)の船の中で、薄汚れた動物のようにオリに押し込められていた。
そんな中、公子の携帯に一本の電話が入る。聞き覚えのある犯人の声に混乱する公子。「あゆみちゃん同様、あなたの息子を預かっている」という脅迫に、公子は恐怖のどん底へと突き落とされる……。
第三回 『身代金運搬』
仮眠中だった公子の携帯に、あゆみ誘拐の犯人・智永から直接電話が入った。貴之を誘拐したという智永の信じられない言葉に、公子は絶望のどん底に突き落とされる。智永は、貴之の命と引き替えに、あゆみの身代金1億円を公子自身の手で運ぶよう要求する。貴之の誘拐がにわかに信じられない公子に、智永は「信じさせてやる」と電話を切った。楢崎家に詰めている人物の誰かが智永と通じているらしく、公子は上司に打ち明けることもできず、ひとり苦悶する。
公子は誰にも知られないよう急いで自宅へ戻ってみたが、そこに貴之の姿はなかった。部屋には犯人から公子へのホットラインとなる中古の携帯電話とチャージャーが残されていた。公子はその場に崩れ落ちる。
楢崎家にとって返した公子は、動揺を隠してこれまでどおりあゆみの母親役を演じるため犯人からの電話を待った。誰が犯人と内通しているのか疑心暗鬼になりながら。そこへ郵便物が届いた。出てきたのは子供の手形の血判だった。悲鳴を上げる香澄(山本未来)と彰一(升毅)。だが悲鳴を上げたいのは公子も同じだった。手形の血液型と指紋を調べるため、鑑識班があゆみの子供部屋で指紋を採取し始めた。公子は貴之からもらったテレホンカードを密かにあゆみの持ち物に紛らせた。
片野坂(佐藤浩市)は、この血判は警察が介入したことへの報復だと公子を責め、同じ子供をもつ公子に「母親の気持ちがよく分かるだろう」と公子の神経を逆撫でする。公子は片野坂が内通者ではないかと疑い始めていた。
鑑識の結果、血判の指紋はあゆみのものでないことが判明。だが唯一テレホンカードについていた指紋と一致した。警察は、この指紋が一体誰のものなのかで騒然となるが、公子はひとり叫び出したい気持ちを必死にこらえていた。公子は、犯人が貴之の命と引き替えに、公子を服従させようとしていることを思い知らされる。
智永から楢崎家に電話が入った。智永は現場の責任者である曽根(モロ師岡)を電話口に出させ、あゆみの母親を演じてきた婦人警官に現金の受け渡しをさせたいと言い出す。その場の全員が、なぜ公子なのか疑問に思いながらも犯人の要求を受け入れることになる。だが納得がいかない片野坂は、公子が何かを隠しているのではないかと疑いをもつ。
身代金輸送車にひとり乗り込むことになった公子は、捜査本部の相馬(益岡徹)に拳銃の所持を願い出たが、奪われる危険を理由に許可されなかった。智永から携帯電話で指示を受けた公子は、恐怖と孤独に震えつつ、楢崎家のマンション前から世田谷通りを神奈川方面に向けて走り出した。後ろを曽根たちが乗った追跡班が追い、進む方面には管轄の配備が敷かれた。
智永は篤志(妻夫木聡)と泉水(新山千春)とともに身代金受け渡し場所へと車を走らせていた。智恵は再び公子に電話を入れると、厚木市にある採石工場跡地を受け渡し場所に指定した。犯人からの指示は逐一無線で追跡車に報告することになっていた。しかし智永は「息子を助けたいなら、後続の追跡班を振り切ってひとりで受け渡し場所に来るように」と命じた。公子はついに警察を裏切る決意をした。今の公子の敵は犯人ではなく、警察の追跡車だった…。
第四話 「必死の逃亡者」
警察の追跡を振り切った公子は、身代金受け渡し場所として智永に指定された厚木市の採石工場跡地へやってきた。だがそこに息子・貴之はいなかった。智永は姿を見せず、録音した貴之の苦痛に歪む声を聞かせて公子をいたぶった。
公子は智永の指示に従って、身代金1億円を置いて立ち去るように見せかけた。だが篤志(妻夫木聡)と泉水(新山千春)が金に駆け寄った瞬間、公子の運転する車が突入した。転がり出た公子は篤志を蹴りつけ、彼がもっていた拳銃を奪った。だがそのとき、何者かが公子を殴りつけた。智永である。公子は初めて主犯である智永と対面した。智永は公子を殴打し、蹴りつけると、背後から銃で公子を撃った。公子の体は砂利山の斜面を転がり落ちていった。
だが公子は生きていた。防弾チョッキが命を救ったのだ。しかし智永らは身代金を奪って逃走し、子供たちは取り返せず、最悪の結果に公子は呆然となる。ボロボロの体で車に戻った公子は、鳴り続ける警察の無線を思わず取った。飛び込んできたのは片野坂(佐藤浩市)の声だった。彼は「最初から犯人とグルだったのか!」と激しく公子を責めるが、曽根(モロ師岡)はそれを制し「何があった、子供はいるのか」と畳み込む。公子はたまらず無線を切った。その手には怪獣のキーホルダーが握られていた。泉水と争った際に、彼女のベルトから引きちぎったものだ。公子はそのキーホルダーに見覚えがあった。
公子の失踪で捜査本部は大混乱に陥っていた。本部長の相馬(益岡徹)は記者会見を開くが、記者たちから今回の不祥事を厳しく追求される。さらに相馬が配備に判断ミスを犯していたことまで外部に漏れており、窮地に立たされる。 傷ついた体で一晩中歩いて厚木市内へ出てきた公子は、大型スーパーのトイレにいた。そこで公子は長い髪を切り落とし、茶色に染め変えた。新しい服に着替えて、派手に化粧をすると、そこには10才ほど若返った別人の公子がいた。 片野坂がいち早く採石工場跡地で公子の身代金運搬車を発見。厚木市内に重点配備を敷いた。そのころ公子は市内のパソコン量販店で、展示されている端末を使い、警視庁情報処理センターにアクセスしていた。パスワードを入力し、今回の連続児童失踪事件を検索すると、資料の中から、失踪したひとりの少年の写真を探し出した。そこには怪獣のキーホルダーを持った少年の姿があった。少年の父親は古賀英寿。公子は横浜市の古賀の住所を頭にたたき込んだ。 貴之とあゆみは停泊したグレイ・ウォン(北村一輝)の漁船の檻に閉じこめられていた。グレイは、中国や台湾から密入国者を運んできた蛇頭の復路の船に子供たちを引き渡すことになっている。外科医の冨家(今井雅之)は、子供たちが現地に到着するのに合わせて臓器移植を希望する患者とその親を連れて渡航し、子供たちの臓器で移植手術を行う手はずになっていた。智永たちが奪った1億円はその蛇頭に渡す金だった。だが味をしめた篤志と泉水は、あゆみを使ってまだまだ身代金を搾り取ろうと言い出す。 公子は警察の追跡をくぐって古賀を訪ねた。今の公子が頼れるのは彼だけだった。キーホルダーを見せられた古賀は愕然となる。公子は自分の息子が誘拐されたことを打ち明け、子供たちを救うため、古賀に協力を求める。だがそこにも片野坂の執拗な追跡の手が迫っていた。
第五話「ペインレス・チルドレン」
古賀(陣内孝則)は、警察ではなく、逃亡する公子(安田成美)を信用し、彼女と共に失踪した息子を探そうと決意する。2人はほかの児童失踪事件についても調べ、そのうちのひとりと古賀の息子が「ペインレス・チルドレン」というホームページに頻繁にアクセスし、オフ会に参加していた事実を掴む。実はこのホームページは、智永(田中美佐子)が開設していたものだった。
公子は古賀と対面し、子供たちを探し出す協力を求めるが、そのとき彼女を追う片野坂(佐藤浩市)が古賀の家を訪ねてきた。古賀は公子を家に匿って片野坂と対面するが、息子の失踪にも身代金要求がないことを理由に広域捜査を行なってくれなかった警察へ怒りを、思わず片野坂にぶつけてしまう。古賀は、息子の失踪が原因で妻と離婚、警察にも頼れず、これまで一人で息子を探していたのだ。そんな古賀は、警察に追われる公子のほうこそ信頼できると考え、彼女とともに息子を探す決意をする。
捜査本部は、公子の息子・貴之(有岡大貴)が行方不明になっており、犯人が送りつけた血の手形が、貴之の指紋と一致することを突き止めた。ようやく事態を飲み込んだ捜査員たちだったが、片野坂は、公子が警察に助けを求めなかったのは、夫の殉職を認めなかった警察への不信感があるからだと考える。 彰一(升毅)は、身代金を奪われ、娘のあゆみを取り返せなかった警察を責め、犯人が再び身代金を要求するのではないかと案じていた。だが公子の息子が人質に取られていたことを知った香澄(山本未来)は、公子なら母親の執念で犯人を追いつめ、子供たちを救ってくれるのではと望みを抱く。
今回の警視庁の失態がマスコミの槍玉に上げられることを恐れる捜査本部長の相馬(益岡徹)は、なんとしても犯人検挙と被害者の保護を成功させねばならなかった。だが皮肉なことに、今の相馬に頼れるのは、これまで疎ましく思ってきた神奈川県警の問題児・片野坂の独断専行しかなかった。 公子と古賀は、彼の息子と、失踪したほかの子供たちに共通点はないか調べ始めた。そして失踪したひとりで、継父から虐待を受けていた9才の宅間均史が、パソコンで「ペインレス・チルドレン」というホームページに頻繁にアクセスしていたことを知る。それは親から虐待を受けている子供たちが互いの傷ついた心を打ち明ける場所で、均史は、フォーラムで知り合った者同士が顔を合わせるオフ会にも参加していた。古賀の息子も、虐待は受けてないものの、孤独感からそこへ参加していたらしい。
だが実はそのホームページは、智永が誘拐する子供たちを品定めするために開設していたものだった。彼女が開くオフ会は、子供たちのデータを集める格好の場だった。彼女自身も親から精神的虐待を受け、両親を殺したい衝動と闘ってきた過去がある。ある意味で、虐待を受けている子供たちはかつての自分の姿であり、篤志(妻夫木聡)や泉水(新山千春)も同類だった。智永はすべての親たちに復讐しているのだ。
智永らはあゆみを使ってまだまだ九条物産から金を取ろうともくろんでいた。だがそこへ「有働公子がお前たちを追っている」とメールが届く。智永らと内通している警察関係者からの情報である。智永は殺したはずの公子が生きていると知って愕然とする。 公子と古賀が密かに連続児童失踪事件についての情報を集めていると知った片野坂は、古賀の家に配備を敷いた。そのため公子は古賀が勤める出版社の一室に匿われることになる。そこへ公子の携帯に智永から電話が入った。智永は、公子が警察に捕まることになれば、貴之は永遠に見つからないと脅し、公子も「殺してやる」と怒りの宣戦布告。いよいよ女同士の死闘が始まる…。
第六話「臓器移植医師」
公子(安田成美)と古賀(陣内孝則)は、失踪した子供のひとりが、以前交通事故にあい、その際に担当した医師の冨家(今井雅之)が、誘拐された楢崎あゆみも治療していた事実を掴む。彼は優秀な臓器移植医師だった。公子の中で「臓器移植」という言葉が強くひっかかる。
依然公子の行方は不明で、片野坂(佐藤浩市)は、接触する可能性のある古賀を見張っていた。だが公子が古賀の会社内の一室に匿われているとことにはまったく気づかなかった。 失踪した子供たちの共通点を調べるため、古賀は福島真美の母親・千晶(加藤貴子)を再び訪ね、真美が3カ月前に交通事故にあっていたことを知る。真美は珍しいRhマイナスのAB型だったが、搬送された病院の救急外来に来ていた永和医大の冨家という医師がすぐに血液を取り寄せてくれたという。彼は各病院で救急外来のアルバイトをしている医師らしい。その話を古賀から聞いた公子は、楢崎あゆみも交通事故で入院していたことを思い出す。その担当医が同じ冨家であることがわかり、古賀と公子はようやくかすかな手がかりを得ることに。だが冨家はすでに2週間前、東南アジアの病院で日本から運んだ福島真美の臓器摘出手術を行っていた。
日本に戻った冨家は、自分の病院に最近RhマイナスAB型の子供が事故で入院したと、智永(田中美佐子)、篤志(妻夫木聡)、泉水(新山千春)に新たな誘拐を依頼。この血液型の臓器は引く手あまたなのだ。すでに冨家のもとには臓器移植を待ち続ける同血液型の患者の親から接触があり、父親は金に糸目はつけないという。篤志と泉水はその話に強く引かれるが、智永は足がつく危険のある特異な子供をまた誘拐することを拒否する。
犯人からの連絡が途絶えた楢崎家には相変わらず捜査員が詰めていた。そんな状況の中でも、自宅で部下の白石(真鍋尚晃)と忙しく仕事をこなす彰一(升毅)。そんな姿を恨めしく見つめる香澄(山本未来)は、2度目の身代金要求に応えてでも、娘を取り戻したいと願っていた。 冨家の病院で臓器提供ドナーの脳死判定が行われたとのニュースが流れた。冨家は、手術室で鮮やかなメスさばきを見せながら次々と臓器を摘出し「臓器提供は資源の再生。人体のリサイクル運動だ」と豪語していた。そんな冨家を、公子が病院の外で張っていた。公子の中で“臓器移植”という言葉がなぜか強く引っかかる。
冨家は篤志と泉水の2人をそそのかし、3人で例のRhマイナスの子供の誘拐を決行することにした。場所は子供と父親が遊びに出かけた川崎のワンダーランド。だがそのことを聞きつけた智永は、誘拐を止めさせるために彼らの元へ向かう。そのころ公子も冨家の車を尾行して川崎へと向かっていた。公子から連絡を受けた古賀も、公子と合流するため車を走らせる。だが古賀の後ろには片野坂の追跡車がぴったりと張り付いていた。追うものと追われる者全員が、今まさにそこへ集まろうとしていた…。
第七回「接近遭遇」
冨家(今井雅之)から特異な血液型の子供の誘拐をそそのかされた篤志(妻夫木聡)と泉水(新山千春)は、川崎の遊園地で実行に移そうとするが、泉水が警察官に発砲したことから園内はパニックとなる。彼らを尾行していた公子(安田成美)は、とっさに撃たれた警官の拳銃を奪い、逃走する。
公子は冨家を尾行して家族連れでにぎわう川崎の遊園地にやってきた。冨家はそこで篤志と泉水に合流した。公子の読みどおり、彼らはつながっていたのだ。息子を誘拐した犯人にようやくたどり着き、公子は獲物を狙う目でその行動を追った。そして彼らがひとりの少年を誘拐しようとしていることに気づく。
一方、古賀(陣内孝則)は、公子を見おろせる場所でビデオカメラを回し、犯人たちの姿を収めようとしていた。園内には片野坂(佐藤浩市)ら県警も駆けつけ、公子の姿を必死で探していた。
智永(田中美佐子)は、冨家にそそのかされた篤志と泉水が、リスクの高い特異な血液型の子供を誘拐しようとしているのを知り、阻止しようと追いかけてきた。だがそこで見たものは、篤志らをぴったりマークした公子の姿だった。
その時ひとりの制服警官が公子に職務質問をしようとして公子ともみ合いになった。それに気づいた泉水がその警官を拳銃で撃ち、さらに銃口を公子に向けた。突然の発砲にパニックとなる群衆。公子はとっさに倒れた警官の拳銃を奪って逃げるが、片野坂と鉢合わせしてしまう。銃を手に迫る片野坂の目に、公子は明らかな殺意を感じた。“やはり犯人と内通しているのは片野坂なのか?”
公子は逃げまどう群衆にまぎれ、危機一髪で片野坂の前から姿をくらました。そのころ智永たちも泉水を連れて遊園地から逃走していた。
この発砲事件で、神奈川県警は、警視庁の女性警官を重要参考人として指名手配したと発表した。その会見を生中継するワイドショーは“女性警官が銃乱射”と決めつけていた。警視庁・捜査本部長の相馬(益岡徹)はその誤報道に激怒し、県警が警視庁の汚点を宣伝するかのような会見をいまいましく見ていた。
妊婦に変装し、腹の中に拳銃を忍ばせた公子が冨家に接触しようと彼のマンションにやってくる。だが彼はすでに頭を撃ち抜かれて死んでいた。それは仲間を危険にさらした男への智永の容赦ない報復だった。
公子は古賀とともにラブホテルに身を隠した。冨家が殺され、これで智永につながる線が完全に絶たれてしまい、2人は途方にくれる。古賀の中には、すでに息子は死んでいるのかもしれないという諦めが広がりつつあった。だがその夜、冨家が射殺されたニュースで、彼が過去にタイの国立医大に招かれていた事実を知る。2人は、誘拐されたあゆみの一家と冨家の接点がタイにあるのではないかと考える。
第八話 「凶暴なる母性」
捜査員が詰める楢崎家からひとりで外出した香澄は、捜査員の監視の目を盗んで、あゆみを誘拐した犯人・智永と接触。内通していたのはなんと被害者の母親だったのだ。智永は「明日、二度目の身代金を要求する」と香澄に告げた。香澄はそれに従うしかないある弱みを、智永に握られているのだ。智永は、公子に2人のつながりを気づかれる前に、彼女を始末必要があった。智永は公子の携帯に電話を入れると、息子の貴之が通っていた小学校に夜、一人で来るよう要求する。
公子と行動を共にする古賀は、そんな智永の要求を罠だと直感し、警察にすべてを話して助けを求めようと説得する。だが公子は警察組織を信用しようとせず、ひとりで犯人と対決する覚悟だ。公子の身を案じて思わず彼女を抱きしめる古賀。2人の間にはいつしか愛に似た感情が芽生えはじめていた。だがそんな2人の身に警察の捜査の手が迫る。古賀は自分の身を挺して、公子ひとりを逃がした。
古賀は重要参考人として警察で片野坂(佐藤浩市)と曽根(モロ師岡)の事情聴取を受けた。片野坂は公子の行方を掴もうと必死だが、古賀は、公子が仲間の警察を頼れないのは、内部に犯人と内通している人間がいるからだ、と明らかに片野坂に対して言い切った。怒った片野坂は思わず古賀につかみかかり、2人は公子をめぐって激しい火花を散らす。だがこのやりとりに捜査本部長の相馬(益岡徹)らは、片野坂に疑惑の目を向けはじめる。
香澄は自分が娘の誘拐に荷担していたことを夫の彰一(升毅)に明かした。バンコク時代、孤児院でボランティアをしていた香澄は、ふとした偶然からそこで行われていた子供の人身売買に手を貸すことになり、そこでグレイ・ウォン(北村一輝)と知り合い、その世界にのめり込んでいったのだ。日本であゆみを治療してくれた冨家(今井雅之)に臓器移植のアルバイトを持ちかけたのも彼女だった。こともなげに淡々と打ち明ける妻の悪魔のような別の顔に驚愕の目を向ける彰一。だが、彰一に本国勤務の辞令が出たのを機に、この仕事から足を洗おうとした香澄を彼らは許さなかった。彼女には現地のある政治家と強いつながりがあり、臓器売買ビジネスを続けるにはそのパイプがどうしても必要だったのだ。
だが香澄がそれを断ると、彼らは新しい仲間、智永や篤志(妻夫木聡)、泉水(新山千春)とともにあゆみを誘拐し、再び一緒に働くことを約束させた。さらに蛇頭に渡す1億円が急遽必要になった彼らは、彰一の会社から身代金を出させて、その受け渡しを成功させるよう香澄に迫ったのだ。
そんなとき香澄は、自分の身代わりとなって犯人との交渉に当たっていた捜査員の公子に目を付け、その息子を誘拐して彼女に身代金を運搬させようと考えたのだ。すべてを夫に打ち明けた香澄に罪悪感の表情はなかった。彰一は、自分の知らない妻の本性を見せつけられて愕然とし、「あゆみを取り返したらお前とは別れる」と激高する。だがそれまでは捜査員に感づかれないよう、2人はこれまで通り夫婦を演じなければならなかった。
その夜、公子は智永の指示通り、ひとりで息子・貴之が通っていた小学校へやってきた。その手には拳銃が握りしめられている。校内では銃を手にした智永たちが公子を殺そうと待ちかまえていた。そしてついに命をかけた激しい銃撃戦が始まった…。
第九話 「暴走」
楢崎家に2度目の身代金要求があったが、九条物産はこれ以上金を用立てることを拒む。会社のために家庭を犠牲にしてきた彰一は会社に乗り込み、過去に九条物産が行ったODA事業の裏で、不法な森林伐採が引き起こした災害により、現地の住民多数が死んだことをマスコミに流すと社長を脅し、1億円を出させた。公子はそんな状況を、密かに協力関係を結んだ白石からの報告で知る。
身代金運搬車に彰一とともに白石が運転手として乗り込むことになった。1回目の失態を教訓に、今回は警視庁と神奈川県警が協力して配備を敷くことになり、片野坂も捜査本部の曽根(モロ師岡)とともに現場の指揮に当たった。
そんな中、本部長の相馬(益岡徹)は、県警監察室から取り寄せた片野坂の前歴を見て愕然とする。昨年9月、片野坂はある保険金殺人事件の容疑者を追ってタイ・バンコクに派遣され、正当防衛で犯人を射殺していたのだ。しかもその時期が、ちょうど楢崎一家がバンコクに駐在していた時期と重なる。そして相馬は彼の正当防衛を証言したのが思わぬ人物であることを知る。
出発した身代金運搬車の中で、彰一は白石に警察の追跡車を巻いてほしいと頼む。今度こそ犯人に金を渡してあゆみを取り戻したいという彰一に協力を決意する白石。2人は現金のケースにとりつけられていた発信器を捨てた。その一部始終を、白石は通話中のままポケットに忍ばせた携帯電話で公子に聞かせていた。
だが片野坂と曽根の車だけが、身代金運搬車をぴったりマークしていた。そのとき片野坂の目の前に1台の車が飛び出し、彼らの車は横転する。その車から出てきたのは公子だった。いつしか片野坂は、ひとり犯人に立ち向かう公子に、畏怖にも似た気持ちを抱くようになっていた。
犯人から彰一に、身代金受け渡し場所の指示が入った。だが彰一は、白石が状況をすべて公子に聞かせていたことに気づき、すぐに智永(田中美佐子)に連絡。だが智永にとっては、公子が自ら現場に乗り込んで来るのは願ってもないことだった。
身代金受け渡し場所に姿を現したのは篤志(妻夫木聡)だった。彰一は金を渡すと、無事あゆみを取り戻した。そこへ公子も駆けつけ、彰一たちを引き返させると、弾が1発だけ残った拳銃を手に、ひとり篤志と銃撃戦をする決意をする。公子は、息子・貴之が新潟・鯨仏の船中いることを篤志から聞かされる。
来た道を引き返す彰一たちは、篤志を追ってきた泉水(新山千春)のバイクと遭遇。キレた泉水は彼らにショットガンを炸裂させ、彰一が被弾してしまう。
だが身代金受け渡し場所にやってきた泉水が見たものは、眉間を撃ち抜かれた篤志の死体と、初めて人を殺し、呆然と立ちすくむ公子の姿だった。絶叫して怒り狂う泉水はショットガンを公子に向けて乱射する。
そのころ、楢崎家にはあゆみが保護されたと一報が入る。安堵した香澄(山本未来)は、片野坂と二人きりになったとき、思わずその胸に飛び込んだ。2人はかつてバンコクで愛し合った仲だったのだ。そして彼の正当防衛を証言したのも彼女だった…
第十話 「海の道を行け.」
壮絶な銃撃戦の末、篤志と泉水を射殺した公子は、傷だらけの体でショットガンと1億円を持ち、嵐の中、山を越え、息子が監禁された船が停泊する新潟の鯨仏海岸を目指した。
泉水に撃たれた彰一(升毅)は危篤状態にあった。意識を失う前、白石(真鍋尚晃)に「有働公子の息子の誘拐を思いついたのはあの女だ」との言葉を残していたが、警察はその意味を掴めない。それが分かるのは片野坂だけだった。
香澄(山本未来)は、智永ら犯人たちを公子が殺してくれれば、バンコクで子供の臓器売買ビジネスに手を染めていた自らの過去と決別でき、一から人生をやり直せるものと信じていた。だがそんな愚かな香澄に、片野坂は「有働公子に子供を返してやろう」と告げる。バンコクでは香澄やグレイ・ウォンらの犯罪に手を貸し、一度は口封じのために公子の殺害をもくろんだ片野坂だったが、今では孤高に闘う公子に畏怖の気持ちさえ抱くようになっていた。「彼女に力を貸してやりたい」。かつては愛人関係にあった片野坂の、裏切りとも思える言葉に、香澄は強烈な孤独感に突き落とされる。
智永はグレイ・ウォンとともに、鯨仏海岸で篤志と泉水を待ったが、ついに戻らず、公子に殺されたことを知る。智永は、公子が息子を奪い返しに必ずこの海岸にやってくると直感し、我が子のように愛した篤志たちを殺された憤怒を燃やす。だがそのとき、智永は皮肉にも自分の胎内に新しい生命が宿っていることを知る。グレイ・ウォンの子だった。
ついに公子が精魂尽き果てたボロボロの姿で智永の前に姿を現した。貴之はすぐ目の前の船にいる。公子は智永に撃たれながらも力を振り絞り、猛烈に反撃。2人はまるで獣がもつれあうような壮絶な戦いを繰り広げる。智永は意識を失うが、その隙にグレイは1億円を奪い、貴之の乗った船をタイへ向けて出航させてしまう。
鯨仏海岸を突き止めた片野坂と曽根(モロ師岡)は、そこで公子を発見。曽根は、あとは警察にまかせるよう公子を説得するが、片野坂が曽根を殴って気絶させてしまう。唖然とする公子に、片野坂は「警察を頼っても子供は取り戻せない。2人で追うしかない」という。公子はその言葉に耳を疑う。
片野坂を信用できない公子だったが、今は彼に従うしかない。片野坂は港で漁船を調達すると、公子とともに乗り込み、グレイの船を追った。2人は遥かタイまで追跡する覚悟だった…。
最終話 「烈火の月」
南シナ海上。貴之(有岡大貴)を乗せてタイに向かう智永とグレイ・ウォン(北村一輝)の船を、公子と片野坂の乗った漁船が1日遅れで追っていた。公子はこれまでの激闘がたたって倒れるが、片野坂の献身的な看護で徐々に回復しつつあった。
タイに密入国した智永らは子供たちを連れて国境の村に身を潜めた。同じ頃、バンコクの町に古賀(陣内孝則)の姿があった。彼は公子と別れてから日本を離れ、この地で失踪した息子の消息をひとり探し続けていたのだ。
バンコクにたどり着いた片野坂は、かつて国外逃亡犯を追ってこの地に2カ月滞在した際に銀行に貯め込んでいた金を下ろし、追跡資金にした。だがその金額のあまりの大きさに、公子はバンコク時代の片野坂の行動に疑念を抱く。
捜査本部は、公子と片野坂がタイに密航したものとみて、国際刑事警察機構を通じて地元警察に手配した。そのころ、彰一(升毅)の葬儀を終えたばかりの香澄を、捜査本部長の相馬(益岡徹)と曽根(モロ師岡)が訪ねていた。彼らは、バンコク時代の香澄と片野坂の関係、さらに死んだ冨家(今井雅之)との接点に疑問の目を向け始めていた。
公子は香澄がかつてボランティアをしていた孤児院を訪れ、香澄とタイのある政治家が臓器密売の裏で強く結びついていたことを知る。一方、片野坂は、かつてグレイ・ウォンと接触していたバーで、グレイからの伝言を受け取る。それは国境近くの村の地図が書かれたメモで、彼らはそこで待っているという。
グレイ・ウォンの子を宿した智永は、自分の中に芽生えた始めた母性に戸惑っていた。だだ、公子が死にものぐるいで子供を救おうとする気持ちは初めて理解できた気がする。しかし、今となっては自分のためでなく、彼女もまたお腹の子の命を守るため、公子と闘うつもりだった。
公子と片野坂は村へ向けて車を走らせた。孤児院を訪ねて、この事件の黒幕が香澄ではないかと確信した公子は、彼女と片野坂の関係への疑念を口にする。片野坂はついに自分が犯人一味とつながっていたことを明かし、ことの真相をすべて告白した。それを聞いた公子は片野坂が許せない。貴之を誘拐させておいて、なぜ今さら一緒に子供を救おうとしているのか、公子は混乱する。だが、公子はふと片野坂は今、死に場所を求めているのではないかと感じる。
ついに2人は智永らが待ち受ける村へとやってきた。銃を手に村へ足を踏み入れると、目に飛び込んできたのは、恐怖でひとり立ちすくむ貴之の姿だった。すぐにでも駆け寄り抱きしめたい公子。だが智永らは貴之をおとりに公子をおびき寄せ、銃弾を浴びせようと身を隠していたのだ。そしてついに最後の死闘が始まった…
|
|

