BSドラマアベニュー「喪服のランデヴー」(全5回)
喪服のランデヴー
キー局:NHK BS2
制作:2000年
放送:2000/08/14〜2000/08/18
プロデューサ:池端俊二
演出:渡邊孝好(渡辺孝好)
原作:コーネル・ウールリッチ「黒衣の花嫁」(喪服のランデヴー)
脚本:野沢尚
出演:藤木直人、麻生久美子、塩見三省、岸部一徳、寺田農、吉田日出子、吉岡秀隆、石丸謙二郎、山本未来(山本未來)、坂本長利、山口美也子、銀粉蝶、沼田爆、松重豊、田中哲司、北見敏之、宮崎優子、水木薫、草野裕、森富士夫、大原真理子、武川修三、松本じゅん、音丸英樹、北村隆幸、植松洋、新城彰、恵有一、鎌田直、吉満涼太、持田篤、佐藤太三夫、小寺徹、堀口たかよし、児玉頼信、窪園純一、三宅正信、茂木和範、伊藤幸純、根岸季衣、小林麻子、長塚圭史、平野稔、佐々木敏、野村昇史、武川修三、宮野真守、西澤美優、新城彰
解説:地上波では、2000/08/15〜、火曜23:00-23:50の「ドラマDモード」枠で放送された。
結婚直前に恋人を殺された一人の若者が、恋人の命日に一人また一人と殺人を犯していく。彼を追う若き刑事は、警察という組織の中で自分の信念を失うことなく生きていくための闘いをくり広げる。そして若者から恋人を奪った犯人たち。かつて学生運動に身を投じた彼らも30年という歳月の中で体制側に立ち、自己の保身のための闘いをくり広げてきた。その犯人たちに挑む二人の若者が見つけたものとは……
関連リンク
喪服のランデヴー ホームページ
各話タイトル
第1回「凶手」
第2回「愛死」
第3回「闘争」
第4回「接近」
第5回「告別」
ストーリー
第1回「凶手」
毎晩8時宝良駅前のガス灯の下で待ち合わせ、幸せな時をすごしていた路木悟史(藤木直人)と飯田聖美(麻生久美子)。
しかし、結婚を目前にした5月31日、聖美は薬草を採りに山へ行った帰りに車に轢かれ、それに乗っていた男女4人に息のあるうちに埋められてしまった。
ゼネコン社長・長谷部(塩見三省)、県会議員の尾花(岸部一徳)、宝良署長の植村(寺田農)、そして弁護士の季里子(吉田日出子)ら4人は自分達の社会的地位を守るために聖美を殺したのだった。
月日が経ちガス灯の下から悟史の姿が消え、人々の記憶から聖美の轢き逃げ・死体遺棄事件が忘れ去られたころ長谷部の最愛の妻が風呂場で溺死しているのが発見される。
あやしく響く悟史の心の声...
『どんな気持ちか、分かったろう』
第2回「愛死」
長谷部の妻が死んで1年後、尾花は三期連続の当選を果たしたが愛人の千夏(山本未来)から別れをきりだされた。若い恋人ができたらしい。
尾花(岸部一徳)は今の地位を捨ててでもと 千夏のマンションに行くと千夏は何者かによって殺されていた。自分に容疑がかかるのを恐れ、尾花は妻(山口美也子)に助けを求める。
妻は何くわぬ顔で夫のアリバイを証明するが、尾花は千夏の男に脅され、妻にも最終的に裏切られて自殺してしまう。 その裏には.....。
聖美の死、5月31日の偶然、そして署長を含む4人との関係に若い刑事・総太(吉岡秀隆)は疑問を持ち始めていた。
第3回「闘争」
総太(吉岡秀隆)は聖美の 事件を再び調べ始め定年退職した先輩の挽地(坂本長利)に聖美を殺したのが4人で恋人だった悟史が、復讐で彼らの愛する者の命を奪っているという説を話す。
そして、次の標的は上司である植村(寺田農)の番になる。植村にとって聖美殺しは認めるわけにはいかない。
総太は植村をだまし、家族とは別に盲目の一人娘(宮崎優子)がいることを知り、彼女を守ろうとするが、 今度は総太が逆に植村に出し抜かれてしまう。
そして、植村の娘の命は....。
第4回「接近」
残る一人、季里子の一人娘・由海(麻生久美子・二役)は映一(長塚圭史)のプロポーズを受け 幸せな毎日をすごしていた。
悟史(藤木直人)は映一に近づくことで由海と知り合い、強引に由海に迫っていた。一方、季里子は由海に新たに近づく男がいないか執拗に探る。
季里子の心とは裏腹に、 由海は本気で悟史に惹かれ始めていた。
総太(吉岡秀隆)は由海の身辺を探り、遂に悟史に遭遇し接触する。が、総太は拳銃を悟史に奪われてしまう、しかし、悟史は.......。
第5回「告別」
河原で季里子(吉田日出子)と長谷部(塩見三省)が会っている。30年前の話しをしていた。長谷部は季里子にある小さな紙袋を渡す。
由海(麻生由美子)は総太(吉岡秀隆)たちから大城博司と名乗る男の本当の姿を知らされる。
その男の名は路木悟史(藤木直人)で季里子ら4人に恋人・飯田聖美を殺され以来、復讐の鬼と化した男だということ。
そうと知りながらも由海は悟史に会いたいという気持ちを抑えきれない。
そして婚約者の映一(長塚圭史)から悟史の携帯電話の番号を聞きだし海岸で再会し、一夜を過ごす。
朝を迎え、枕元で少年のような表情で眠る悟史の口から「聖美....」という寝言を聞き、悟史の心の中に死んだ恋人の 存在があることを知り、複雑な気持ちの中、由海は総太ら警察の「悟史を生かして逮捕する」ための計画に手を貸すことを決める。
5月31日、遂に最後の復讐の日を迎える。
雨の降る中、警察はガス灯近くの学習塾で悟史を逮捕するために待機していた。
総太はなんとしても路木悟史を生きることで罪を償わせたかった。
由海もまた、悟史に殺される危険を知りながらも彼を自首させたいと願っていた。
ガス灯の下で聖美に扮した由海が待つなか、約束の8時になり、電車から降りてきた人混みの中から悟史が現れる。
「待っててくれたんだね...」近づく悟史、が、そのとき悟史は異変に気づく。
「違う、聖美じゃない!」戸惑う悟史は、右ポケットを探る。
「確保!」待機していた刑事たちが飛び出す。総太も舌打ちをしながら、真っ先に飛び出していた。
そのとき、由海に向けられつつあった殺意が止まった。
「由海?」つぶやく悟史。
由海は喜びのあまり傘を手放し、悟史の胸に飛び込もうとしたそのとき、 一発の銃声が世界を凍らせた。
倒れる悟史の後ろから、拳銃を構えた季里子が現れる。
倒れている悟史に、季里子ははさらに銃弾を打ち込む。
由海に抱えられながら、もうろうとした悟史は由海に話しかける。
「ありがとう、待っててくれて」 「もう俺を待っちゃだめだよ」と言い残し、絶命した。
右手に握られていたのは由海の写真だった。 ほぼ同じ頃、病院では植村(寺田農)の心音が停止した。
「8時7分でした。」医師が臨終を告げる。
役目を全て終えたような面もちで、長谷部は廊下に出て、公衆電話をから電話をかける。
「もしもし、警察ですかお話ししたいことがあります。」
死んだ悟史の、壊れていた腕時計が動き始め、8時1分を指す。
数年後の5月31日、夜8時にガス灯の下で待つ女性を、総太は見ていた。
由海である。 そこに「ママ!」の声が...。男の子の姿。
「やっぱりここだった。」
由海が言う。
「だってパパの命日だもん。パパとママが一年に一度、デートする日だもん」
「じゃあ、七夕様と一緒だね」
笑いながら由海「ほんとね!」
保育園の先生に「さようなら」と挨拶をして、手をつないでガス灯の下を後にする二人。
総太は二人の背中を見送り、その場を去った....。
「雨の降る日も、雪の降る日も、月の照る夜も、照らぬ夜も...
その町のガス灯は、 闘いに疲れた人々を優しく見守っているという.....」
公式ページの野沢尚氏のメッセージ引用
サスペンス小説の巨匠コーネル・ウールリッチの「喪服のランデヴー」の脚色は、デビュー当時からの夢だった。
その魅力は比類なき叙情性だ。
ドラマのナレーションで使わせてもらったが
「二人は毎晩八時に逢った。 雨の降る日も雪の日も、月の照る夜も照らぬ夜も」
という書き出しで始まるこの原作小説は、恋人の死によってゆるりゆるりとサイコキラーへと変貌していく主人公像を、哀切感たっぷりと描いている。
ラストの一行は本当に泣ける。
が、舞台を日本に移して脚色するに当たって、原作の持つ叙情性だけでは何か物足りないと感じた。
闘争の記憶に引きずられている全共闘世代が一方にいる。
彼らによって恋人を抹殺された若者がもう一方にいて、復讐の刃を彼らに向ける。
高度経済成長時代以降の日本が避けて通ってきた「世代間闘争」というテーマを、サスペンスの古典小説に持ち込むのはひとつの賭けだった。
全共闘世代の先輩方は、いまだにあの時代を総括してくれない。
今の若者たちが政治に無関心なのは 何が原因なのだろうか。
怒り方を知らず、価値相対主義にどっぷり漬かってしまっている若者たちを責める資格は彼らにはない……と、両者の中間世代に属する僕は思う。
罪を犯した人間は一生逃げるか、死んで責任を取るかどちらかで、償うことをしない。
そんな社会を作ってしまった世代に、若者二人がどう吠え、どう迫っていくのか。
それがこのドラマの見どころだ。
「彼らの長い闘いは終わった。だけど人間にとって、汚れずに生きていくこと、そもそも闘いなのだ」
最終回のこのナレーションは原作にはない。
原作にはないエンディングを目指した。
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