恋人よ
小説「恋人よ(上)」「恋人よ(下)」
1995年
文庫: 370ページ(上)、317ページ(下)
出版社: 幻冬舎
解説:お腹の子供の父親はあなたではないかも知れないと告げられた航平。夫になる男を愛しきれない愛永。二人の男女が結婚式の直前に出会い、再会し、そして恋をする。プラトニックな不倫小説。
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ドラマ「恋人よ」
レビュー
ドラマ「恋人よ」を先に観ました。
鈴木保奈美さんが好きだったので。
何と言うか、本当に彼女は彼女でしかない確固たる個性を持ち合わせているのに、役を自分の物にすることが出来てしまう方なんですよね。
顔の造作が完璧というわけじゃないのに、魅了されてしまうのです。美しい、と。
愛永役が鈴木保奈美さんで良かったです。
2組の夫婦が結婚式の前に出会い、恋をし、それぞれの不器用な方法で家庭を守ろうとし、愛そうとする、何とも切ないお話です。
もちろんキレイ事だけではなく、エゴも満載、醜さも弱さも全て盛り込んでいますが、
「ドロドロしすぎて観ていられない!」
って感じでもないのです。
周囲の人間に安心感を与える安定感、菩薩の微笑で、いつも冷静な佇まいで、誰も傷つけない恋をしようとした愛永が本当は誰よりも傷つき、不安で、弱かったのじゃないか。
いつも人の感情に目をこらし、けれど周囲の誰もが愛永が抱えている問題や感情に気付くことができなかった。
けれど愛永は誰も恨んでいないし、幸せだった。
今ある恋は自分のエゴであると感じていた。
どんな小さなことにでも幸せを見つけ、喜ぶことができ、感謝できる愛永という女性に、私は自分自身の在り方を考えさせられる。
愛永を取り巻く人間たちに、私は当時憤ったものである。
航平・遼太郎・粧子・達彦・美緒・季里子……
何て傲慢でずるく、自分のことしか考えられない人たちなんだろう、と。
でも、愛永は一人一人の弱さや、それぞれみんな一生懸命生きているんだから仕方ない、私だって一生懸命生きているように……と許していたのだろう。
残された人生を出来るだけ幸せに生きられるように。
そして、残される人たちに幸せに生きてもらえるように。
愛永自身が幸せに生きるために守り続けたものは。
心で燃える炎を、燃え盛らないよう、消えてしまわないよう、そして相手の気持ちがどうあれ、自分の気持ちに目を向け続けたこと。
それは相手に何かを押し付けるのではなく、自分自身を確認し続けること。
想い続けること。
それでも愛永は求めていた。
安心して眠れる器を。
自分のエゴであると認めながら。
引き裂かれる恋などに涙するのではなく、愛永の最後まで真摯で愛永らしいやり方に涙しました。
もっと長い時間、もっと古くから、もっと深く愛永を知り、愛したかった。
みんなそう思ったのじゃないかと思う。
現在、激しい恋愛で苦しんでいる人に読んでもらえたらと思います。
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