深紅

深紅小説「深紅」
2000年
文庫: 454ページ
出版社: 講談社

解説:橋克彦氏激賞!これは奇跡的傑作である。
犯罪被害者の深き闇を描く衝撃のミステリー。吉川英治文学新人賞受賞作。
父と母、幼い2人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。正体を隠し、奏子は彼女に会うが!?

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映画「深紅」


レビュー
映画「深紅」では、前者の奏子は内山理名で、後者の未歩は水川あさみでした。
私は水川あさみが昔から好きですし、未歩の役にマッチしていたんじゃないかなぁと思います。

これまた野沢さんらしく、個々の葛藤やアイデンティティみたいなものを掘り下げた作品となってます。
犯罪被害者の遺族である生き残りの娘と、その犯罪加害者(殺人者)の娘が出会う。
家族を皆殺しにされて生き残った、当時小学生の奏子は知らせを受けてから遺体に対面するまでの4時間の記憶を丸々再現してしまう心的外傷ストレスを引きずって生きている。
「自分も一緒に死ねばよかった。生き残ってごめん。」
その思いを引きずりつつ、加害者についての情報を自分の力で集めてきた。
死刑判決を下された犯人は、
「二人の幼い男の子を殺してしまったことについては死刑になっても仕方がないと思う。
 けれど自分を落としいれた父親と、父親が自分を騙すのに至った経緯である母親に関しては死刑になるのは納得できない。」
そう訴えている。
奏子は、犯人には自分と歳の違わない娘、未歩がいることを知る。

「未歩はきっと自分に似ている部分があるに違いない。でも未歩は自分よりも不幸でなくてはいけない。それを確かめたい。」
そう妄執しはじめた奏子は身分を偽り、未歩に接触しはじめる。
というストーリーです。

未歩を知れば知るほど、未歩を友達として認識しつつ、憎む。憎みつつ愛する。
ずっと一緒にいてもっと知って、もっと助けあいたい。
同じ事件に立ち向かってきた生き残り同士。
けれど一緒にいたらまた憎んでしまう。
救われるのに、堕落していく。
陥れたいのに、救いたい。

そういう矛盾した葛藤がまさに人間らしい。

よく、犯罪加害者には守られる権利があるけれど、犯罪被害者遺族は守られない。
というテーマの本や情報を目にする。
確かにそうなのだろう。
けれど、犯罪加害者の家族は、一体どうなのだろう?
やっぱり特に子供である場合は、「犯罪被害者」になるのではないか?
その辺に野沢さんの強いメッセージが込められている。

ただ、欲を言うなら、奏子の勝手な解釈ではなく、未歩の気持ちをもっと書いてほしかったです。

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